第六回公演 『マッチ売りの少女』
劇団不労社 第六回公演
『マッチ売りの少女』
作=別役実
演出=西田悠哉
とある夫婦が夜ごと営む“夜のお茶の時間”に、一人の女が訪ねてくる。
夫婦は女を気さくに招き入れ、3人による“夜のお茶の時間”が始まる。
何故女は夫婦の家を訪ねて来たのだろうか。
“何となく気まずい”雰囲気の中、女は突然、静かに語り出す。
「…あのマッチ売りの少女は、私だったのです。」
二十年ほど前、女は夜な夜なマッチを売っていた。
そしてまだ七つの女は、マッチを擦って、
それが消えるまでの間スカートを持ち上げ、股間を覗かせていたという。
さらに女は続ける。
「…私、あなたの娘です。」
しかし、夫婦の娘は七つの時に電車に轢かれて既に亡くなっていたのである……。
やがて女の“弟”も現れ、事態は更なる混乱へと突入するー
“善良”で“模範的”で“無害”な小市民の生活に突如侵食するカオス!
忘れ去られた過去の記憶が“進歩的保守派”に牙を向く!
昭和四十三年、第十三回岸田國士戯曲賞受賞。
アンデルセンの童話に戦後の日本の風景を重ねた昭和の傑作不条理劇に、
平成生まれ平成育ちの劇団不労社が令和の時代に挑む!
乞うご期待!
【日時】
2020年1月
10日(金)20:00
11日(土)13:00/18:00
12日(日)13:00/18:00
13日(月祝)11:00
【会場】
studio seedbox
〒601-8001 京都市南区東九条南山王町6-3 3階
◎京都市営地下鉄烏丸線「九条」駅1番出口より徒歩5分
◎JR近鉄電車「京都」駅八条東口より徒歩7分
【料金】
前売 2,300円/当日 2,500円
*各種割引*(全て前売のみ取扱い・併用不可)
不労者割 999円(大学院生以下・要証明)
ペア割 4,000円(1人あたり2,000円)
*全席自由席・当日精算のみ
*早期予約特典あり*
【出演】
宮前旅宇
村田千晶
西田悠哉
(以上、劇団不労社)
イトヲ
【声の出演】
藤井颯太郎(幻灯劇場)
草壁カゲロヲ
【スタッフ】
舞台監督/猪岡瑛斗(劇団不労社)
舞台美術/藤田陸(劇団火炎瓶)
大道具/永瀬あきら
小道具/多田剛志(劇団公演中止)
音響/田邉光洋
照明/木村圭佑(稽古後ティータイム)
PV制作/肖藝凡(後進局/大阪大学映画研究部)
衣装/清水春香(MEHEM Lab.)
メイク/松田義顕(劇団公演中止)
宣伝美術/永渕大河(演劇集団ゲロリスト)
制作/ 橋本舜祐(㐧2劇場/はちの巣座)
企画・製作/劇団不労社
【別役実について】
1937年、旧満州に生まれる。サミュエル・ベケットの方法論に強く影響を受け、日本における不条理演劇を確立した第一人者。早稲田大学政経学部入学後、演出家の鈴木忠志や俳優の小野碩らと出会い、1966年に劇団早稲田小劇場を結成し、座付き作家として活躍。1968年に早稲田小劇場を離れてからは、俳小、演劇集団円、木山事務所、俳優座、文学座アトリエなどに次々と戯曲を提供する。1968年に『マッチ売りの少女』『赤い鳥の居る風景』で第13 回岸田國士戯曲賞受賞のほか、芸術選奨文部大臣賞、紀伊國屋演劇賞、鶴屋南北戯曲賞など多数の受賞歴を持つ。戯曲の他にも童話や評論、エッセイなど多数の著作を残している。
【演出覚書】
所謂「不条理劇」の類型の一つである「何気ない”日常的風景“にピリピリと亀裂が生じ、気付けばナンセンスにまみれたよくわからん世界に放り込まれていた」系の話が好きです。
(伝わりますか?)
「日常」という漠然とした「共通概念」が崩壊し、それが内包する滑稽さや不安が顕在化される光景は、笑えると同時に恐ろしく、そしてその「日常」とやらの不確かさを確認する事で何故だか安堵の心地さえするのです。
日本における不条理劇受容の先駆者である別役実作『マッチ売りの少女』も同様の構造を持っており、小市民の日常への「闖入者」がその論理や価値観、そして記憶をも倒錯させていく様を描いています。
約半世紀前、戦後の混乱がまだ爪痕を残す中で著された戯曲でありますが、格差と分断が加速度的に拡大する現在においても尚通底する強度を孕んでいるように感じられます。
現実の不条理が虚構の不条理を追い越さんばかりのニュースが続くこの国で「今」この戯曲を上演することがどんな響きを持つのか、はたまた最早響くことはないのか、検証を試みたいと思います。
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